わたし日和

田舎暮らしの定年女子。認知症の母すーちゃんとの日々をつづります。

いざ演劇祭へ。

いってきました。
利賀でおこなわれた演劇祭『SCOT SUMMER SEASON 2021』へ!


3本をみる予定のうちふたつが野外なので、もう何日も前から天気だけが気がかりだった。
雨が降ればそれはそれは悲惨だ。
わたしは雨の野外コンサートやお芝居をがっつり経験している。


家を朝8時過ぎに出て、電車バスを乗り継ぎ到着が午後1時・・・
めちゃめちゃの雨だ、しかも霧が深い。
そして寒い。


食事がとれたり休憩ができる施設『グルメ館』が橋を渡りすぐのところにあるのだが、雨と霧でまったく見えない。


バスを降りたところに会場スタッフさん用のテントがあったので勝手に避難させてもらい時を待った。
そこでひとりのおじさまと、とりとめのないお話をさせてもらった。
名古屋からおひとりでいらっしゃって前後泊をされるとのこと。
10年間通い続けておられるらしい。
「昨年はコロナでこれなかったけど今年は来ちゃったね~、今年の方がひどいのに慣れだね~」と。
はい。わたくしもまったく同じでございます。




ようやく雨がやや落ち着き霧も晴れたので、橋を渡り『グルメ館』へ。



さっそくランチタイム。
『カオマンガイ』をいただいた・・・


えーっと、味がない。
何を間違えた?食べてみた?どうした?


残念だ。




1本目のお芝居は室内なので雨は降り続くが、まぁ今はまだいい。


もう一度橋を渡り、会場へ。


物語の舞台は、おそらく病院にたとえられたもの。
いつかの時代の医師や看護師や病人がでてくるがそれは、現在を生きる普通の人々なのだろう。
正直、わたしには理解できない(たぶんしようとしてもできない)演出があるがそれはビジュアルだけをうけとめる(しかできない)。
今の世界の情勢やコロナ禍がシンクロし、どう生きるかどこへすすむのかそしてどんな終わりがあるのか、あろうとすればよいかを自ずと思うこととなる。


最後に、この劇団の推しである『佐藤ジョンソン』さんが登場する。
彼女の鍛えられた肉体美。ほとばしるエネルギー。
今回も生きてく力をいただくことができた。


あぁ、演劇ってすばらしい。(誰?)





またまた『グルメ館』にもどり利賀名物の蕎麦を食す。


これは何食?・・・おやつだな。





空模様を気にしながら1時間ほど読書をしていると、なんと雨が上がってきた~~。




奥に見えるのがテント泊の場所。
やっぱ、わたしにはテント泊はムリだったわ・・・。
宿が取れてホント良かった。





『グルメ館』を後にして、2本目3本目の野外劇場、岩舞台へと向かう。


写真はそれぞれの演者側からひいた景色。
ここを歩いて向かうのだ。
どうだろう、もうワクワク感しかないのだけれど。
もはや、からだが少し震えているかもしれない。
いや、大げさではなく。



日が落ちてからの2本目は、劇団演出家の代表作である『世界の果てからこんにちはⅠ』。
花火を使った構成は有名である。


今回、若干構成が変わっていたと思われた。
使用曲も多少違うのではないか。
リピーター(何の?)としては新鮮味もあり良いぞ(何目線?)。


以前、この演出家もおっしゃっておられたが、こちらのお芝居に関しては花火目当てにこられるお客さんも多いとのことだが、全然それでケッコーだと思う。
みた者勝ちだし、感動した者勝ちだ。


先の戦争の空襲やそれにともなう血をイメージしたと思われる花火には、怖さを持ってみるしかなかった。


そして、この日をもってわたしのこの夏が終わった気がした。




次はスペインの作家の作品による『イェルマ』。
演出、出演は『SCOT』ではない。
今回、コロナの影響で『SCOT』以外の公演は、こちら以外は中止または延期となってしまっている。


この演劇祭は前からもちろん楽しみにしていたのだが、まさかわたしの好きな『安藤玉恵』さんが参加されると知った時には正直驚いた。


夫婦が子供を産むことについての葛藤が描かれたお芝居である。


まぁ正直、わたしには感情移入のしどころもないわけだが。


子供を産むことだけを考え続ける妻の狂気。
もちろん物語ではあるが、90年前に描かれた時代と現代との多様性の違いもあるだろうが、どうしてもわたしにはイェルマの心情には入り込めなかった。


現代にこうやってひとりで生きるわたしはならば、どうしたらいいのだ、と。


最後には妻が夫の首を絞め、「子供を殺してしまった」と結ぶ。
う~~ん。
不条理。



今回の野外の舞台はとにかく虫、特に蛾が多い。
体長15センチ(!)ぐらいのが常に飛び交っているのだから。
蛾の平気な女子などいるわけがなかろうが、そんなものものともしない演者さんたちがそれだけですごかった。
稽古中も雨がひどく、きっと寒さに震えながらの日もあったことだろう。
本当に好きでなければつとまらない生業である。




岩舞台『イェルマ』の終演後。




すべての日程が終わった。
バスターミナルから宿へのバスで移動する。



ほっほっほ、こんなお部屋がまっておりました。
スリッパは100均で買ったものを用意してきて正解。
お風呂はなんと男女時間入れ替えということで当然却下。
敷き布団を開いてみれば長い髪がついており・・・
預けられた鍵はまったくかけられる仕様にはなっておらず。
灯りをつけたまま、バスタオルを敷いた敷き布団に横になり朝を迎えました。
そんでもテント泊より100倍いい!


つらかったのは、飲み物の販売が一切なかったこと。
これは下調べをしなかったわたしが悪かった。


共同のトイレや洗面所、廊下はピカピカに磨かれておりきれいでした。


なんと朝一で、宿のスタッフさんが歩けば20分もかかるバス停まで、しかも乗り換えしなくていいように先のバス停まで送ってくださるとのこと。
ありがたい。


そして・・・





宿の裏にはこんな幻想的な景色がわたしを送り出してくれた。


ありがとう利賀。
こんなわたしだけど、また来てもいいかいー。